オレの業界には、シナリオを修正する『添削』『リライト』なる仕事がある。

クライアントによっては、少しでも予算を抑えたい→安い値段で脚本家を雇う→片手間の主婦なんかが副業で引き受けるから、スカスカの内容のシナリオが上がってくる。それを別の脚本家を雇って添削・リライトを依頼し、使える状態のシナリオに修正してもらう仕組みである。
しかし安い値段で脚本家を雇うぐらいだから、添削・リライトはもっと安いし、依頼するクライアント側にすると「イチから文章を作る必要はなく、既に完成している文章を直すのだから良いでしょ」という発想なのだ。

頼まれる側になってもらえば解ると思うのだが、まず大前提として、最初に修正する文章を全部読まなければならない。大体5000文字から8000文字の文章を読むのに『どれぐらい時間がかかるか?』である。
そして次に『何の修正が必要か?』になり、オチが弱ければフリを新たに足すし、話がチンプンカンプンなら補足を加える。
誤字・脱字ももちろん直すし、全てが終わった時点で『問題がないか?』を、『もう一度通して読む』必要がある。

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要は、『そんなに簡単な(安い)仕事ではない』のだ(苦笑)。

ちゃんと作られた文章は修正も簡単で、文字を増やして足す事も、減らして短くまとめる事もできる。
ただ、話の整合性も無い様なシナリオになると、修正だらけでメチャクチャで、『自分でイチから書き直した方が早い』なんてレベルのシナリオが普通にあるし、そんな安い金額で買い叩かれたらたまったものではない(汗)。

だから「(そんな金額でやる訳ねーだろバー◯)」と思うし、出来るけど断っている。
最初からある程度予算をかけて、質の高い脚本家を使えば済む問題でもあるのだが、そういう所に限ってクライアント本人がやった事がないから解らないし、理解もされないのだ(苦笑)。

だからオレが引き受けるのは、ディレクターとして『込みの金額』のみ。

クライアントによっては永遠に解らないままだし、迷走したままなのだろうが、オレの様なクリエイターだからこそ、『できる』けど『やらない』仕事が存在するのである(苦笑)。

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