漫画のディレクターをしていると、漫画家さんが描いてきたものに赤字を入れて描き直してもらう事が多い。冷静に考えればダメ出しして「ここ直して下さい」→「どうしてですか?」→「コッチに直した方が【面白い】からです」と、根拠の無い自分の自信をゴリ押ししている様なものだし、矛盾してるが逆にオレが直される立場だったら、腹が立つし断わると思う(苦笑)。

ほとんどの漫画家さんはオレなんかよりも上手いと思うし、そもそもオレより上手い人しかパイプとして関係を残してない(笑)。そんな人たちを相手にガンガン直させるオレにクライアントもハラハラしていると言うが、結局最後は超ハイクオリティの漫画が仕上がっているので、オレの容赦のないツッコミが漫画家さんたちも妥協できない・手が抜けないニラミとして役立っているのだ(苦笑)。

ある漫画家さんは上手なのだが、美男・美女しか描けない(汗)。登場キャラ全員が美男美女では引き立つ事もない訳で、せっかく上手に描けても漫画全体の魅力は半減してしまう(汗)。
依頼した漫画の題材が男性用の滋養強壮剤の広告で、不全に悩む主人公の男性キャラがAV男優という、面白い設定の漫画を作る事になった(苦笑)。こうなると主人公の男性は美男ではなく、3枚目ぐらいのキャラが好感が持てて共感も得やすいのだが、美男しか描けない事がマイナスになってしまう(汗)。

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案の定最初のキャラデザで髪の毛サラッサラの色男を描いてきてダメ出し。主人公は丸坊主で頬とアゴにヒゲを生やし、日サロに通っている様な色黒にしましょうと指示し、クライアントもドンピシャだと気に入ってくれた。
しかし描き直してきた漫画家が、今度は主人公の衣装を長袖のタートルネックにしてきた為、これでは土建屋の職人になってしまう(汗)。

もっとファッションにも気を使って欲しいと怒ると「Gジャンでも良いですか?」と聞いてきた。Gジャンでも良いがGジャンが流行り出した理由は、昔のケミカルウォッシュという加工がブームになったからで、色入れの時に加工の手間がかかって面倒臭い。ダメージ加工のGジャンでもアリだが、それもやっぱり色入れの時に加工の手間が増えてしまう(汗)。
それに上着がGジャンで下のズボンもデニムを穿かせると『アキバ系』、サイズが合ってないと『ヒップホップ系』になってしまうし、Gジャンでも最もポピュラーなのはリーバ○スの3rdモデルで、縫製されたステッチの箇所にも注意が必要だ。

そういった要望や注意点を全部伝えて描いては直しを繰り返すのだから、そりゃ仕上がりは凄いクオリティの漫画が仕上がる(苦笑)。

クライアントに言わせえると、同業者の間では年に1度当たれば良い広告漫画が、月に1度当たってるぐらい業績が良く、大手に負けない数字を叩き出し続けてるという。

オレ自身がそこまで上手く描けなくても漫画としての重要な部分は違うし、ギャーギャーうるさくても結果を出しているのである(笑)。

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