高知に行っている間、初日から帰る直前までひろめ市場で呑んでいたオレたちだが、10時の開店までに少し早く着いて待っていた時、何気なく見た入り口に貼ってあるポスターに目を奪われた。

職業(?)上、色んな漫画家さんとやり取りし、駅や電車の中吊り広告なんかを見ても、普段からデザインや構成を考える事が習慣じみているオレにとって、これは非常に巧いし目を惹くポスターだった。

立ったままの『立ち絵』も、サ◯エさんの様な棒立ちではなく、キャラの角度や姿勢、身体のバランスなども完璧だし、ただの立ち絵ではなく感じさせる理由は、髪の毛の『跳ね』や『うねり』、帯や鉢巻の『動き』で、この『長さ』や『配色』、総合的なバランスを含めたセンスの高さが見事だと感じたのだ。

「ヒュッ」とか「ズバッ」といった様な『効果音』を表す『書き文字』が無くても『動き』が解る・伝わる。『文字』という情報を足さなくても、絵だけで訴える『躍動感』の表現も素晴らしい。

ポスターの前で見入り、突っ立ったまま動かないオレの所に来たヨメさんに「これを描いた人、相当巧いわ…」なんて絶賛し、ポスターの隅に書かれた作者の名前を見て驚いた。

スポンサーリンク

描いた人は、昔オレが読んでいた漫画の漫画家だったのだ。

今から30年以上も昔になるが、名前を聞けば知っている人がいるかも知れない。オレがまだ20歳前だった頃、スピリッツという雑誌で『ツルモク独身寮』という漫画が連載されていた。

ギャグセンスというか、漫画としてコミカルな要素の取り入れ方も上手くて面白く、自宅には今でも単行本を残して持っている。

当時の連載が終わってからは大きく名前を聞かなくなり、風の噂で連載の辛さから漫画業界からは身を引いて、デザイナー的な仕事に移ったと聞いていた。

漫画の主人公の実家が高知県だった設定を思い出し、作者が高知県の出身で、このポスターを描いている事に繋がったのである。

オレが評価するなどおこがましいぐらい有名な作家に「(スゲーなぁ…)」なんて感心し、家に帰ってから調べて更に驚いた。

確かに漫画からは身を引いている様だが、デザイナーとしてはかなり色んな分野で活躍しており、皆んなが知っている解り易い作品を上げるなら、昔流れたカップヌードルのCMで、世界的にも有名な漫画『ワ◯ピース』が別の漫画家で描かれて物語が作られ、最後に「アオハルかよ」のセリフで終わるシリーズ。
あの作者もこの人だったのである(驚)。

CMを観た当時のオレは「(???…誰が描いてるんだろう)」なんて思っていたのだが、言われてみれば確かに、ポスターのタッチと同じ絵なのだ(驚)。

もう30年以上も前だし、当時のオレは高知にここまでつながりも拘りもなく、全く解らなかった訳だが、色々と繋がった事に鳥肌が立つぐらい驚いた、思わぬ形で出会った新しいリスペクトだった(笑)。

元・漫画家でデザイナーの名前は窪之内英策。高知といえば広末◯子や島崎和◯子が有名だが、それぐらい有名でも不思議ではない、凄い人なのである。

*長かった高知旅行編はこれで終わりです:笑

スポンサーリンク