オレは元・漫画家でありながらシナリオも書く脚本家というスキルを活かし、ディレクターとしても活動している。

取り引きしている3社のうち1社は、運営者が統計やリサーチを調べ上げたベースのシナリオに、オレが目を通して書き加えたりもするし、それが『白髪染め』の商品ならば「今が一番若く、これからは歳を取っていくだけ。白髪も当然増え続ける」なんて一文を足して、視聴者の共感や危機感を煽ったり、ダイエットサプリを担当した漫画家には『主人公の女性は髪の毛をミディアム以上の長さに設定し、普段は髪を下ろす事でコンプレックスである顔の輪郭を隠させる。サプリの効果が得られる事で物語中盤からは髪を結んで顔を出し、主人公の表情を活き活きと描いて欲しい』なんて指示を出したりしている(一応ちゃんと仕事をしてるのだ:笑)。

運営者は漫画に特化した構成や表現までは解らないので、オレが文字(シナリオ)にも絵(漫画)にも精通している事を重宝される。解らないから依頼した漫画家さんから「できません」「無理です」なんて言い負かされても、オレが間に入る事で「できるはずです」と押し切ったり、断れないぐらい途中までオレ自身が描き進めたデータを渡したりもする(笑)。

最初に自己紹介で「これからは元・漫画家の私が最初にチェックします」と挨拶すれば、漫画家も「(下手なモノは出せない……)」と警戒する訳で、運営者からラフの段階でも「めちゃくちゃクオリティが上がりました!」なんて感謝されるが、そこから更にオレが口出しして、最終的な色入れまでに2段階〜3段階くらいまでレベルを上げて納品している仕組みだ。

スポンサーリンク

先日見た漫画家さんが上げてきたラフは遠近法がメチャクチャで、手前の主人公よりも奥に立つキャラクターの方がデカイ(汗)。100歩譲って人間じゃないキャラなら身体の大きさを無視したアングルもあり得るが、『腰』の位置もおかしいのでバックの背景とも身長が合わずに馴染まないし、違和感を感じさせる(汗)。

当然修正をお願いして戻すのだが、「アプリに入っている人形に合わせて描いているのでできません」と言う(汗)。
どうやら人物のデッサン用に動かせる3Dがあるらしく、それに合わない構図では描けないらしい(汗)。

同業者でもあるオレに言わせると「そんなコト知るかい」だし、コッチは『漫画が描けます』という人に依頼をしているのだ。『描けません』じゃなくて描いてもらわないと困るし、それが3Dを使おうが素で描こうが手段は構わない。

オレは3Dなんて使わないし、人物の身体のバランスや必要なアングルなど素で描いているが、描けて当然の基礎の様なものだ。それでお金を貰っているし、その技術こそ一般の人とは違うスキルだからである。

結局オレがラフを起こして「こういうイメージで描いて下さい」と手取り足取り教えたが、運営者だけだったら「できません」と断られて終わりな訳で、遠近法を無視したメチャクチャな漫画が完成してしまう(汗)。

資格などいらない業界だが、自称レベルな人も珍しくないぐらい漫画家といってもピンキリだし、描けなかった漫画家が次は切られてそれっきりになった事は言うまでもない(汗)。

スポンサーリンク