商品をアピールする・宣伝する事において、見た人が印象に残り易い文言や映像を選ぶ事が難しく、こういった戦略を立てながら作られている事を踏まえて広告を見てみると、また違った面白さや発見がある。

例えば15秒のCMで、15秒間をめいいっぱい自分の商品をアピールし続けたらうるさいだけだし、見た人の印象も損ねてマイナスの効果へ働いてしまう。

ポイントを抑えつつ、いかに簡潔で解り易く、見た人の印象に残って心に響くかが、購買意欲をそそる結果へと繋がる訳だが、この『人の心を動かす(動かそうとする)』というメカニズムを理解してCMを見てみると、また違う面白さに気づくのだ。

ガッキーの『お疲れ生です』というアサヒビールのCMで、商品が休売なほど売れ行きが好調だという。

オレの様なヤツでさえ『お疲れ生です』というガッキーのセリフを覚えている事が、印象として残せている事になるし、このCMのメーカーに言わせると、忙しそうなビジネスマンたちを尻目に、このセリフを言わせても嫌味にならないという視点から、ガッキーを起用したというのだから流石だなと思った。確かに普通の感覚からしてみれば、忙しそうに働いているビジネスマンを尻目にビールを呑んでお疲れ様なんて、馬鹿にしてるのかレベルのセリフである。

メーカーが意識したのはビールとしての『爽快感』よりも、『癒し』を狙った戦略だったらしいのだが、結果的には見事に多くの層の購買意欲を掻き立てた、効果的なCMだったという事になる。

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他にもメルカリのCMでは、草彅 剛やタモリが起用されているのだが、相当な売れっ子や大御所なので、かなりの製作費がかけられている。

中でもタモリはケタ外れなギャラのはずなのだが、そんなタモリのセリフは一言しかない。

CMとしての物語があって、草彅 剛たちが色々とセリフを話すのだが、CMの最後の最後で言うタモリのセリフは『メルカリ』のたった一言だけなのだ。

そんなケタ外れなギャラを払うのだから、もっと色々とアピールしてもらいたいぐらいの所なのに、最も効果のあるセリフ、社名の一言だけを言っているのだから、その分『重い』し、実際に記憶(印象)としても残り易く、効果も大きいのである。

そんな製作費を突っ込んでも、一言しか与えない制作会社の決断力というか勇気も凄いと思うし、タモリも随分オイシイ仕事だなぁと思う。

「タモリさん、出番入りまーす!」

「メルカリ」

「はい、OKでーす!」

これだけなのだ(笑)。

まったく、羨ましい限りである(笑)。

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