昨日キャンプブームについて触れたのだが、若い頃は貧乏キャンプが当たり前だったし、そもそも『泊まる金がないからキャンプをしていた』と言っても過言ではない(笑)。

『THE WILDMAN』でも登場する、UTCとして毎年夏休みに行っていた場所は、実はオレが高校生の時に偶然見つけた場所で、高校を卒業して社会人になって仲間たちと出会ってから、「夏休みぐらい高速に乗って遠くに行きたい(全員金は無い)」という仲間たちの要望に、「じゃあ、昔オレが行った海でも行ってみるか?」になった訳だ。

高校生の夏休み当時、中学時代に仲が良かった野郎と2人で、「せっかくの夏休みだから泊まりでどこか行かない?」となり、入ったばかりのバイト代を持って新幹線に乗った。

どこに行くのかもまったく決めず「夏だからやっぱ海じゃん♡」の感覚だけで出発したのだが、新幹線に乗るのも地図とテントを1つ持っただけ。

東海道新幹線の三島という駅で降りて、駅のロータリーで大きな地図を広げ、「さぁ、どうするか?」となり、海岸線沿いにバスが走ってるんじゃないか?という目星をつけてバスに乗り込み、2時間ぐらいバスに揺られている中で、バスから見えた景色で「ここで降りよう!」と決めた場所が、後のUTCとして17年間も通う事になる『その地』だったのである。

道具なんてテントしか持ってないし、当時は海でアジの養殖をしていて、そのまま釣り堀として釣る事もできた。

浮きも何もない釣り針のみの竿を借りると入れ食い状態で、大きなアジがあっという間に4〜5匹釣れた。

釣れたアジはそのまま持って帰るルールで、どうやって食べようかと迷った挙句、ゴミ捨て場で他のキャンパーが捨てていったと思われる金網を拾って大喜びし、熱心に洗って火にかけて熱消毒をした事にして、アジを丸焼きにした。

アジは焼けたがお皿がないので、同じくゴミ捨て場に捨ててあった漫画雑誌を拾い、「真ん中のページなら綺麗だろう」と都合よく決めて、真ん中付近のページを破ってお皿に使った。

海の家(当時はエミーとマリーの海の家ではない)で醤油を借りて割り箸をもらい、丸焼きにしたアジに醤油をかけて缶ビールを飲んだのだが、これがメチャクチャ美味かった(笑)。

それから数年後、バイクの仲間たちと4泊5日も道路で寝て過ごす事になるのだが、最初のキッカケを含めて「なんであんなに楽しかったのだろう」とも思う。

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ビールはすぐに温くなってしまうし風呂にも入れない、背中は痛くて寝れないし、酷ければ雨に降られる事もある。

それでも毎年みんな楽しみにしていたし、年齢も仕事もバラバラなので、6月ぐらいから「今年はいつ行く?」と休みの調整で連絡を取り合っていた。

どんどん便利で快適になっているキャンプの話に昨日触れたが、大変だからこそ思い出に残り易くもあり、「楽しかったよな」と言える思い出が残っている事は、贅沢で幸せな事なのかも知れない。

歳をとって守り気味になってきたが、食い物が缶詰しかなかったり、カッパがなくてゴミ袋を着て走ったりといった苦肉の策は、苦労も含めた『遊び』であったからこそ、きっと楽しかった思い出として残っているのだ。

「今やってみたら、それはそれで楽しいのだろうな」と思うし、いつかまた、当時を懐かしんで再チャレンジなんてしてみても面白いかも知れない。

そんな思い出という『引き出し』が残っている事、経験をしている事が贅沢だし、そこに『便利』や『お金』はさほど重要ではないのだと思う。

「今更もういいよ」と言えるぐらい遊んできて、過去に経験した魅力を知っているから、その気になれば再チャレンジもできる。

どちらも選べるのだから、やっぱり贅沢で、若い頃の苦労や大変だった思い出は、美しさに形を変えて、長く残るのだと思う。

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