オレは漫画家以外で脚本家としてシナリオも書いているのだけれど、脚本を書く仕事というのは物語を考えるだけではなく、『正しい』&『読み易い』文章というスキルも求められる。

例えば
『もったいないからはがきを使う事にした』
『もったいないからハガキを使う事にした』では、下の文章の様にカタカナが間に入る方が読み易い。
『勿体無いから葉書を使う事にした』は小説の様に固いイメージになるし、
『もったいないからハガキを使うコトにした』は、逆にライトな印象を与える。

漫画のシナリオ、要はフキダシに収まるセリフとして使われる場合は、どの言葉が適しているか? も考えながら文字を組むのだが、オレの作った文章を漫画家さんがそのまま使う為、この『正しく読み易い文章』というのも重要なのだ。

先日、ある漫画を読んでいる際に、1つの文章に違和感を感じた。

『タコを揚げる』

これ、このままの文面ね。
この文章だけ読むと、何を連想するだろうか?
正解というか、漫画の絵は正月に『凧』をあげているのだが、この表記ではまるで、『料理』として『蛸』を天ぷらにでもして『揚げている』様だ。

オレはこの文章を見た時に「(ミスッてる)」と思ったのだが、オレが思ったのは『揚げる』ではなく『上げる』の方で、『蛸』ではなく『凧』なのだから、『上下』を示す『上げる』が正解。『凧揚げ』ではなく『凧上げ』が正しいと思った訳だ。

だが、実際には『凧揚げ』の『揚げ』の方が正解と知って驚いたし、『手で掲げる(かかげる)』方の意味合いとして、コッチで正しいらしい(汗)。

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「(え〜…)」と思ったし、『蛸』じゃなくて『凧』なんだよ? 上下じゃん、空の上へ上へと上げる遊びだし、凧を下へ下ろす時は『下ろす』やん(怒)。
納得がいかなかったけれど、日本語って本当に難しいのだ(笑)。

ちなみにオレが脚本を書く場合の『じゅうぶん』は『充分』、『十分』だと『時間』の方を連想させてしまうので『充分』の方を使うし、『わかった』も『分かった』は『時間』の『分』と混ざるので、『解った』方を使っている。
これは完全に独学自己流の『読み易さ』を分析・研究しているからなのだが、『寂しい』は『情景に対して表現する言葉』、『淋しい』は『感情に対して表現する言葉』など、ルールの通り正しく・正確に使い分ける場合もある。

オレはブログを長く続けた事で、この『文字』を扱う仕事にも就き、そこで『文字の表現力』も学んだのだが、この歳になってもまだ日本語に驚かされている(もうすぐ50歳なのに:汗)。

ただ、先に例として並べた様に、同じ文章でも相手に『重く』伝えたり、『軽く』済ませたりもできる、要は読者に『ここは立ち止まってしっかり読んで欲しい』、『ここは他の文章と同じで流して読んで欲しい』を意識して組む事もできるのだから、やっぱり日本語ってスゴイのだ(笑)。

「下手くそだな」→普通
「下手糞だな」→冷たい
「下手クソだな」→乱暴
物語に合った言葉をチョイスするし、漫画家は漫画家で言葉を汲み取ってマッチした絵で表現すれば、相乗効果で作品のクオリティは一層高くなる。
毎日続けているブログも同様で、トゲの立つ言い回し等に注意しながら、気を使っているのです(笑)。

『いやぁ、まだまだ未熟ですなぁと、頭を掻いた』
『オレは自分の安易な発想を思い返し、溜息をついた……』
ほらね。同じ意味合いでも、全然違うでしょう?(たまにはこんな終わり方も面白いかも知れない:笑)

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