オレは漫画家と脚本家の両方で活動していて、描けるし書けるをウリにしながらディレクターとしても活動しているのだが、仕事柄色んな漫画家さんのラフ(色入れ前の状態)なんかを見ると、非常に勉強になる

クライアントからよく聞く悩みが「これじゃ『漫画家』じゃない、ただ『絵が得意な人』だ」という事で、これが本当にピッタリ当てはまるぐらい、上手い・下手の差が歴然と別れ、普通の人に比べれば確かに上手かも知れないが「(なんでこうなるかな……)」と頭を抱える様な自称漫画家さんも多い

圧倒的に欠けてる印象の1つが『汲み取る力』で、物語はサーファーの話だというのに、1人も日焼けしてないどころか長髪やアロハを着てる訳でもなく、全くサーファーには見えないなんていうのもあるし、感動する男女の恋愛モノだというのに、冒頭から終わりまで、着ている服装が全て同じ、日付の変更を感じない、まるで『1日で起きた出来事』の様で、これじゃリアリティもへったくれも無いし、ドラ◯もんに登場するの◯太の服である(いつも黄色のポロシャツね)

絵の『上手さ』といのは漫画家に依頼しているのだから当たり前の話で、その先にある『巧さ』を表現して欲しいし、それは「どこまで気を配って『汲み取れるか?』」でもある

例えば、仲良し女子高生3人組が冬の時期に通学しているシーンでも、『巧い』漫画家は制服の上に着ているコートまで、全て3種類のタイプを色も変えて描き分けてきたりするし、チェックするコッチも勉強になる

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女子高生という設定だから、最低限『制服』で描いてくれれば伝わるのだが、描き分けた方が作品のリアリティは増すし、そこまで注意を配れる『気づける』と『汲み取れる』を踏まえた上での『表現力』の『差』は、かなり大きな違いになるのだ

アホみたいに全部のコマがお互い向き合って対面式での会話のカットばかりが並ぶなら、アングルを変えたりも必要だし、ワンカット単位だけで見るのではなく、作品全体を通して見た際の『見え方』を考えれば、自ずと気がつくはずなのだが、大真面目に気づかない自称漫画家さんも居るし、そういうのはチェックしてても「(コイツ全然解ってない……)」となる

そして厄介なのは、そういった事を指摘して赤字を入れてもマジでピンと来ない漫画家さんが普通に居る事で、同じ赤字を入れて戻す事が続いて「(あぁ、コイツはもうダメだ)」と諦めへと繋がり、クライアントと相談して契約解除したりもするのだから、やっぱり『センス』は重要なのだ

オレのルーツは『THE WILDMAN』で、月1度しかないバイブズでの2ページで、「どう爪痕を残すか?」で本当にアタマを悩ませ続けた

何せ2ページの見開きしかないのだから、簡潔でありながら『面白エッセンス』をどこまで盛り込めるか?を追求し続けてきたし、有名な漫画の分析をしながら表現力を取り入れ、自分で描く際の巧さを勉強した

『見せる絵』と『魅せる絵』は違い、同じワンカットでもフキダシさえ取っ払えば、そのままポスターにも使える様な『惹き込む』『画力』は、躍動感を表す『動き』となる髪の毛の跳ね方や身体の滑らかな動き、単純な水平垂直以外のアングルと、総合的にとにかくレベルが高い

そういった『巧さ』が重要だし、それは自分自身にも勉強になるから意識して見ている

その吸収しようと意識する姿勢が、きっと大切なのである

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