オレたちのチームの最期、解散理由は、喧嘩別れだった

今から30年ぐらい前の話になるが、当時若くて貧乏だったオレたちは、バイクをイジる事に夢中だったし、Gベストにお揃いの看板を刺繍する金まで持ってなかったので、それぞれが布用のペンで古着のGジャンに直接描いた物を着ていた

だが、いつかはみんなで『ちゃんとお揃いで刺繍してもらおう』という夢を持っていて、その為の予算をメンバー全員がボスに預けていたのだが、何年経っても実現しない

ボスに聞いても「安い値段で引き受けてくれる刺繍屋さんを探している」と言われるのだが、ヒモのボスは仕事もしない無職で、彼女の退職金を前借りしてハーレーを買うわ、試験場にも通えずに大型免許も無いまま無免で乗るわと、あまりに常識から外れ出してきていた(当時、今の様に教習所では大型免許は取れなかった)

ボスは『人』としての信用を失っていく内に、仲間たちから集めた看板を作る為の予算も使い込んでいるんじゃないか?という噂が立ち始めてしまう

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そんな事を考えずに楽しくやってきたオレたちにとって、非常に良くない流れに向かっている事に危機感を感じ始め、オレを中心にボスの歳に近い主力メンバー何人かで「刺繍屋さんが見つからないなら、一回それぞれに金を戻そう」とボスに提案した

年齢的に働いているオレやビッチなんかはともかく、ロナウドたちは当時まだ高校生、そこそこの大金である。だが、ボスに話しても「専用の口座を作って入れてあるからすぐには下ろせない」等と、適当にはぐらかすばかりなので、数週間猶予を与えて「〇日までに取りに来る」と伝えた訳だ

で、当日になってボスの家に行くと、逃げて居なかった。みんなで探して見つけ出し、詰め寄って更に数週間猶予を与えて、無事に何とか返させた

あの時は怒ったなぁ(笑)

オレはもともとオフクロ役みたいなモノで、誰が怒ってもなだめたり止めたりする立場に居たし、ビッチがムチでオレがアメだなんて言われていたぐらいだったが、そういう局面になった時に誰が代表してボスに言うかとなったら、オレが言う事が筋だと思ったし、オレが怒ればみんなも我慢してくれる。それぐらい普段のオレは怒らなかったし、そうしなければボス1人が袋叩きになってしまう所だった

それまでも皆からは言わない様に我慢してもらい、オレからボスに説得してきたが、いよいよもって「(ダメだこりゃ)」になって、「いい加減にしろよテメー」になった訳です(笑)

仲良くやってきて、そんなお金の事で揉めたくないじゃん。でも『集団で走る』って、そういう事よ。ビッチが車を煽って運転が荒いから怒ったり、仲間同士で揉めるのをなだめたり、楽しい事ばかりじゃない

まぁ、年齢的にも若くて皆が尖ってた部分もあるのだろうけど、まとめるのって難しいし、本当に大変

だから『チーム』として集団で走る事に『酸いも甘いも』味わってるし、今さら集団で走らなくたって、乗りたい時に乗れば良い、1台でヨメさんを乗せてトコトコ走ってるぐらいで、丁度良いのだ(笑)

色んなハーレー乗りがいて、集団で走る事を否定しないし、魅力や楽しさも知っているが、オレはもうソッチは卒業したというか、お腹いっぱい味わったという感覚なので、今さら集団で走りたいとも思わないし、オレから誘う事もない。世界で一番カッケーと思っている自分のハーレーと、ゆっくり付き合って行ければ、それで充分満足で、幸せなのである

以上、バイカーとして実話の物語を描く、リアルに走ってきたからこそのオレが語る、チームの歴史でした

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