ジョニー以外は救急車で病院に運ばれ、ジョニーだけはパトカーで警察署に連れて行かれた

せっかく18時に仕事が終わったというのに、事故から警察署まで来て、時刻は21時を過ぎていた

交通課で事故の現場検証を調書にまとめながら取り調べを受けたが、半ギレ状態でいい加減な返事しか答えなかった為に、余計な時間がかかってしまった

「はい、じゃあ、これで取り調べは終わりね」

「・・・・・・。」

「つぎ、隣の刑事課に行ってくれる?」

「はぁ?!」

交通事故での事情聴取は終わったが、今度は相手をブッ飛ばした事での傷害事件として、刑事課での取り調べが待っていたのだ

もはや怒りも取り越して、情けないやら虚しいやらで刑事課に入ると、夜も遅いせいか、刑事らしき人物が1〜2人残っているだけだった

そんな中、いかにも刑事といった様子の、昭和のTVに登場するような、角刈りでゴツイ、50歳ぐらいの刑事がジョニーを呼び、おもむろに小銭を渡してきた

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「オレはコーヒーを。兄ちゃんは好きなのを買っておいで」

自分で買って来いよという気持ちより、交通課でさんざんヒドイ扱いを受けた悔しさから、人情味のある温かい刑事に好感を持った印象の方が強く、言われるままに飲み物を買って、コーヒーとお釣りを差し出した

「事情はよく解った。兄ちゃんの気持ちも、よぉく解る。でも、示談にした方がいい」「後になって慰謝料なんかで長引くと、とにかく面倒くさいから」

どうやらブッ飛ばした相手はそのまま入院するハメになったらしい。入院費用や治療費だってバカにならないし、その後に延々後遺症やら何やらと請求されても厄介というわけだ

「とにかく手を出した事は謝って、何とか示談に治めろ」

ひたすらそう説得されて、やっと全ての取り調べが終わった頃は、夜の23時過ぎだった

数日後、刑事に教えられた病室を訪ねると、包帯に巻かれてベッドで横たわる若者がいた

「まぁ、事情はともかく、手を出した事は悪かったよ」

まーったく反省した様子もない、口だけ感満載でジョニーが謝ると、相手からは意外な言葉が返ってきた

「記憶を全く覚えてないので……大丈夫ッス」

こうして無事(?)話がこじれる事もなく、治療費や入院費も相手に払ってもらい、お互い乗っていたバイクの修理代だけは自分たちで直すという事で示談がまとまり、ジョニーは自分でバイクを直して、無事事件は片付いたのである

(おわり)*皆さんも、暴力にはナルベク注意しましょう

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