オレは漫画家としても活動し、シナリオを書く脚本家としても活動しているのだが、今日はそんなシナリオのメカニズムに触れたいと思う。

見る側である相手を感動させたい・泣かせたいなら、泣く部分の感動のヤマが『オチ』になる訳で、その『オチ』までの『フリ』で、どこまで盛り込めるかが重要になる。

例えば、のび太くんをフリの段階で『惨め』に追い込めば追い込むほど、オチの感動は「良かったねぇ」と大きくなるし、ジャイアンをイヤなヤツに仕立てれば仕立てるほど、オチで「ざまぁみろ(スッキリした)」になる訳だ。

その工程の中で、のび太くんの心理描写を掘り下げて、見る側の『共感を得る(解るぜ、のび太くん…そうだよなぁ…と思わせる)』や、ジャイアンの客観的視点を盛る『(こいつ、マジで最悪だな…と思わせる)』事、ドラえもんが登場して解決してくれれば『(さすがドラえもん!)』になって、「あ〜面白かった♡」になる仕組み。

ドラえもんのキャラで説明したが、この主人公が可愛い女の子だったりすれば、男性視聴者はより盛り上がるし、イケメンな男を登場させれば女性視聴者が盛り上がる。

盛り上がる=は『感情移入』が進む結果でもあり、そのキャラクターを好きになってもらえば、その物語以外でグッズなんかを出しても売れちゃうぐらい、好き(人気)になる訳だ。

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そして「みんな好きでしょ?」という様な、テッパンのお決まりネタもある程度決まっていて、若い世代ならば『美人でスタイルも良いけど健気な子』や『眼鏡を外したら別人の様に可愛かった』様な子が、苦労の末にハッピーエンドなんて話は喜ばれるし、年齢層が上になると『母子家庭で苦労した主人公が、やっと就職が決まって、最初の給料で母ちゃんを温泉旅行に連れて行った』なんて『親孝行ネタ』が喜ばれる。

この『どう書けばウケる(喜ばれる)かな?』をポイントに考え、先ほど話したフリからオチまでの間に、主人公の心理描写を掘り下げて共感を得ながら、リアリティを足す事。

例えば、

母子家庭で苦労した主人公がやっと就職が決まって、最初の給料で母ちゃんを温泉旅行に連れて行きたいと思っている。ただ、主人公には幼馴染みで付き合っている彼女がいて、最初の給料で彼女に結婚指輪を買ってプロポーズをしたいとも思う。迷っていた主人公に彼女が突然「ポイントが溜まったから」と言って温泉旅行の宿泊券をプレゼントしてくれた。主人公と母は喜び、結婚指輪を買って彼女にプロポーズをした。

なんて流れにすると『みんなハッピー』になるし、ここに『彼女の実家がスーパー経営』や『彼女がお弁当屋さんでバイトしている』なんて設定を加えて、『余った食材を分けてくれる』なんて話を盛り込んでも良い。

誰も損をしないハッピーエンドでありながら「なんて健気な…」や「いい子だ…」とフリの段階から盛る事で、オチの感動は大きくなるのである(笑)。

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