最近はシナリオばかりを書いているオレだが、一応は雑誌で4年連載していた漫画家なので、肩書きとしては元・漫画家兼脚本家になるのだろうか…? 漫画家になる前までは、印刷会社に勤めるサラリーマンだった。

何か考えがあって就職した訳でもないし、悪い事ばかりしていた為に全寮制の男子校の高校に入れられて、脱走して中学時代の友達とパチプロまがいな生活をしている内に捜索願いが出されて、出席日数が足りなくなって体育すら赤点になり、美大の推薦など実技と面接だけの進路が全部パーになって、当時付き合ってた5つ歳上の彼女から「ちゃんと就職しなきゃダメ」と言われ、会社見学に行った先が髪型や服装に理解のある会社だったので「センセ、俺ココにしますわ」と受けた1社だけが、バブルの時代だった為にそのまま採用された。文字にしてみるとなかなか長かったが、当時から無計画のいきあたりばったり人生である(笑)。

アナログな時代だったが、もともと手先は器用なので仕事はできたし、最終的に部下を見るそこそこの立場までは任されていた。当時印刷業界は「不況知らず」と呼ばれるぐらい、景気に影響を受けない、安定した仕事と言われており、理由は不況になれば業界が「広告を出す(=印刷する)」からで、本もまだまだ売れていた時代だったのだ。

印刷に使う『文字』というのは写植と呼ばれ、1文字いくら?で計算される。解り易く説明すると、英語のアルファベットはA〜Zまでと0〜9までの組み合わせ、数にしてもたかが知れているから、今の時代は無料も多い。かたや日本語になると、ひらがなからカタカナ、漢字と凄まじい数であり、お寿司のネタの『魚』へんだけでも膨大な数、それに太字のゴシック体や細字の明朝体、丸字の丸ゴシックなど種類が加わるのだから、最初に基礎となるパターンを作る方も大変だし、作って使ってくれる(買ってくれる)から成り立つ訳で、それを前提にした上での単価があり、不況知らずと連動する仕組み。
印刷会社側は文字だけを作る会社から1文字いくらの金額で買って、それを含めた単価を出版社に請求するのだが、不況知らずの殿様職場である、文字だけを作る会社が、まず不況の波に呑まれて無くなった。

要はもっと単価の安い文字を作る会社が参入してきた事で、値崩れを起こしたのだが、今後もこれは加速して、手間がかかる日本語でもフリーとして無料になるのではないかと個人的には読んでいる。
理由はAIの参入で、膨大な数の日本語でも1パターンだけ作ってしまえば、それを太くしたパターンや細くしたパターン、筆で書いた様な筆文字など、AIならば対応できる様に思う。

次に文字を使ってレイアウトを組むソフトだが、これも文字や画像の処理を行う別々のソフトを、セットにして売り出すメーカーが出現した事で、業界が大きく変わった。当時から新しい機械の展示会などにも見学に行かされていたオレは、色んなメーカーのソフトを見てきたが、それがほぼ全部パーになったのだから、各メーカーにとっては大きな損失である。今のフォトショップやイラストレーターを作るAdobe社がそれで、どこもやった事のなかったセット販売を始めた事で、企業単位では買えなかった様な高額なソフトも、個人で買えるほどの値段でフルセットを揃えられる(文字も画像も扱える)仕様で売り出したのである。

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それからインターネットが普及した事で時代は加速し、瞬く間に本そのものが衰退していった。ご存知のとおり【情報】を紙面の紙ではなく、【画面】のモニタで知る時代にシフトしたのだ。

これによって下請けの系列会社は衰退し、バンバン潰れる事になるが、まったく本が無くなる事はないにせよ、この流れは止まらないだろうと思う。

他に目を向けてみれば、YouTubeやTikTokの様な新たな動画配信が登場し、TV離れが加速している。これも時代の流れで、衰退してほぼ無くなるのも時間の問題だろう。

ほとんどの人は、1人では生きられない。【情報】は不可欠である。その情報を得る手段が、大きく変わっているし、オレは業界的に目の当たりにして生きてきた訳だ。

まとめると、時代の変化でバンバン淘汰されてきたし、今後もその流れは止まらない。ただ、【情報】は金になるし、金になるイコール生活に結びつく、職業としても成立する。もともとの業界はもちろん、YouTubeなどの動画配信者がこぞって新規参入しているのも、そういった理由からなのである。

40歳を過ぎて脱サラしたオレは、好きだった古着屋などでも働いてみたが、在庫を抱えたくなかったし、この歳で肉体労働も先が見えている。最終的なシンプルな答えが【1万円をどう稼ぐか?】だった。

くたびれた中年オヤジ逆転の発想で、今さら大儲けできなくたって夫婦2人で暮らしていければ良い。その収入を得る手段として、絵や文字を使って【情報】を売ろうと考えた訳だが、そんな変化や戦略について、明日は触れてみたいと思う(笑)。

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