漫画の話（ネタバレあり）3

漫画の話の最後に、【スラムダンク】の作者である井上雄彦氏について触れたいと思う

かなり昔に少年ジャンプで連載された有名なバスケ漫画だが、当初はスポーツ漫画といえばサッカーか野球が支流で、「バスケットボールなんて売れない」と酷評だったという。結果バスケ漫画の先駆け的な存在ぐらいまで登り詰めたが訳だが、バスケのルールなんて知らないオレでも読んだし、バスケを知らなくても楽しめる漫画である
漫画家として感心するのはバスケに目をつけた着眼点で、バスケが『6人』VS『6人』のスポーツである為に、6人ぐらいならそれぞれに特徴を持たせ易いのである
サッカーは『11人』VS『11人』のスポーツなので、『シュートが巧いヤツ』『足が速いヤツ』『ジャンプが凄いヤツ』『ディフェンスが巧いヤツ』と割り振っていったとしても、11人全てに役割を持たせる事は難しい
どうしても『特に何もない、普通のヤツ』が混ざってしまうのだ
これにライバルの学校が加われば合計22人にそれぞれ秀でた能力を割り振る必要があるし、対戦相手の学校も変えなければならないから、『対×11人』が、常について回る
野球も9人なので『9人』VS『9人』で計18人分の能力を分けなければならないのだが、これが6人のバスケとなれば、割り振りもし易いし、読者もキャラクターを覚え易いのである

この【スラムダンク】が終わった後、【バガボンド】という宮本武蔵を題材にした漫画を描いているのだが、これも連載当初は「チャンバラ漫画なんてヒットしない」と言われていた

【スラムダンク】から更に画力も上がった表現力で見事に描き上げているのだが、これは【スラムダンク】の時から同じで、『群衆模写』という、サブキャラどころか通行人の様な、ちょっとした人物まで、見事に表情豊かに描き分けているのだ。オレが知る限りでここまで千差万別に描き分けている漫画家はいないし、オレ自身解っていても『できない』し『描けない』のである

オレが仕事で引き受ける漫画で設定が無い女の子の髪型は、なるべくショートカットは避けて、ミディアムかロングぐらいまでの長さで描いている
絵に『動き』を持たせる為には、ある程度の『長さ』が必要で、『跳ね』や『うねり』を加える事で、静止画とは思えない様な『躍動感（動き）』を表現しているからで、同じ描くにしても動きが無い絵は魅力が半減してしまうし、『ドン！』とか『ドカッ！』や『フワッ』といった効果文字を書かずとも、セリフのフキダシさえ取っ払えば、そのままポスターに使えるぐらいのデザイン、絵だけでそれが伝わる表現力を目指している

上のカットの様に、ややスカートを舞い上げたり髪の毛を跳ねさせる事で、飛び出してきた様な『動き』を出しているのだが、オレが意識して注目する様になったのも、井上雄彦氏の【スラムダンク】からで、この漫画は男子高校生たちが主人公なので短髪ばかり、中には丸坊主までいるぐらいなのだが、見事に『動き』を出しているのだ

ハナシ（脚本）が面白くなければ『絵』だけでは売れないが、両方どころか更に上を超えた、表現力や着眼点、総合的な『センス』が、圧倒的に秀でた漫画家さんなのである

オレ自身が漫画家・脚本家になった事で、分析・研究も兼ねてオススメの漫画に触れてみたが、いかがだっただろうか？
『なるほどねぇ』と思って頂く部分があれば、今までの漫画を見る目とは違った、別の面白さが見つかるのかも知れない（笑）

（おわり）

＊メールの紹介＊

『コウモリバスターY☆Ssan連絡待ち（？）さん』からメールを頂きました。ありがとうございます

やっぱ元不良は詳しいですね～(笑)
某漫画のバイク自分も気になってました(笑)
不良でノーマルは無しですよね～
シゲさんは色々と修羅場潜ってるから色々と詳しい!
ハーレーだけではなくバイク全般知識広い人って意外といませんよね。
かくゆうワタシは女関係で修羅場潜って
只今絶賛バツ2です(笑)
ワイルドマンYouTubeめちゃめちゃ楽しみにしています～☆

ありがとうございます（笑）
やっぱりヤンキー漫画をウリにしておきながら、ノーマルのバイクに違和感を感じてる方は他にもいらっしゃいましたか…そんな訳がないですよね（笑）
そんなツッコミどころを酒でも呑みながら話したら、メチャクチャ盛り上がりそうな気がします（笑）
女性関係も私が落ち着いた果てが今のヨメさんなので、まったく人のことを言えません……（汗）
そんなヨメさんにこのメールを見せたら「ワイルドマンYouTubeを進めなければ！」と焦っていたので、もうしばらくお待ちください（笑）

ありがとうございました