いつもの様に、近所のラーメン屋さんで呑んでいた

このお店の餃子は野菜のセロリが入っていて、シャキシャキとした食感が美味しいのだが、そんな餃子を食べていて、ヨメさんが餃子のメニューに気がついた

『セロリ』の表記がカタカタと平仮名が混ざっていて、『り』に関しては、どちらかも解らないとハシャいでいる(汗)

ただ、問題はそこじゃなくて、写真には『5個入り』となっているのに、出された餃子は6個……。マスターに聞くと、「2人なので分けられる様にサービスしました」と言われた

このお店ではこの前も、メニューにはない『ネギと卵の炒め物』をサービスされたばかりで、申し訳なく思い、餃子をもう1皿注文する事にした

出てきた餃子は、やっぱり1個多くて、ヨメさんと半分ずつ分けられた

ありがたかったし、おかげでいつものラーメンも更に美味しい気がした(ちなみにオレの玉子もサービスらしく、本当は入っていない:汗)

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お店を出た帰り道、スーパーの前で買い物帰りであろう、80歳近い老夫婦を見た

時刻は19時を過ぎた辺りで、すでに暗くなっているのだが、買い物を入れて運ぶ、お年寄りがよく使っている小さいキャリーカートの上に、更に買いもの袋を3袋も積み上げ、おかげで安定しなくなってしまったのか、2人で座り込んで荷物を縛り直している

オレが「大丈夫ッスか?」と声をかけてみると、上に積んだ3つの袋は全部同じ犬用のトイレシート。どれもそこそこ大きいどころか、表面がツルツルしたビニールのパッケージであった為に、いくら縛ろうが滑ってしまい、不安定な状態になっていたのだ

オレが「こりゃ無理だって。オレが手伝って運ぶから、家を案内してくれ」と言うと、「大丈夫です」「ありがとうございます」と断わられた。実際無理なはずだし、何度か「気にしなくて良いから」と食い下がったが、2人の姿勢は変わらず、「じゃあ、気をつけて」と挨拶を済ませて、家に帰る事にした

その場所からまっすぐ行った所がオレの自宅なのだが、家まで帰っている最中、ヨメさんが「どうするの?」「いいの?」と聞いてきた。確かに心配ではあるが、向こうは1人ではなく2人いるし、助け合って何とかするだろう。ラジオフライヤーでも引っ張って戻り、全部の荷物を積んで運んでやる事も可能だが、オレとしては1度声をかけて断わられている以上、既に役目は終わっているし、そこまでして戻った所で、再度断わられる可能性の方が大きい

オレは「オレとしては、もう必要ないと思う」と話し、「お前はどうしたい?」とヨメさんに聞くと、ヨメさんは「もう一度戻って、助けてあげたい」と言う

それならば仕方がない。再度断わられる玉砕覚悟で戻ろうやという事になり、ガレージからラジオフライヤーを引いて、再び来た道を引き返した

老夫婦はまだ同じ場所で荷物と悪戦苦闘していて、オレが陽気に手を振って荷物を全部引き受けると、全てラジオフライヤーに積んで、老夫婦の自宅まで運んだ

老夫婦に何度もお礼を言われ、「申し訳ないから」と、スーパーで買ったという焼き鳥を渡されそうになったが、オレたちは既にしこたま呑んだ後だと伝え、「気にしないでいいから2人で食え」と帰ってきた

老夫婦と別れた帰り、2人が見えなくなる最後の曲がり角まで、すっかり小さくなった老夫婦が、家の前でずっと手を振っていたのが印象的だった

実はガレージからラジオフライヤーを出している最中、ヨメさんから「写真を撮る?」と聞かれて、断わっていた。ブログのネタの為に助けているわけじゃないし、この話も書かないつもりだった

だが、老夫婦を助けた帰り、ヨメさんが「自分のお父さん、お母さんを助けたみたいだった」と言い、「助けてあげられて良かった」と喜んでいる姿を見て、気が変わった

きっとヨメさんは、ガラッパチのオレと違い、助けたくても躊躇してしまい、思う様に動けない時も多い。オレが行動する事で、ヨメさんも一緒に加われるのなら、助けたいという気持ちが強かったから、それが叶って嬉しかったのだ

オレとしては別に特別な事でもないが、助けた事よりも『ヨメさんが喜んでいた事』と、その前に食べたラーメン屋で『恩』を受けていた事が、ちょうど繋がっていた日だった事もあって、今日は『まごころリレー』と称して、この話をさせてもらおうと思う

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