以前も書いたが、オレは今、とある漫画サイトで専属の脚本家&ディレクターとして活動していて、クライアントから「脚本家さんが不足している状況だから、脚本を書いて欲しい」と言われて引き受けた

オレ以外には既に女性の脚本家さんが2人いて、オレが加わった事で計3人の脚本家になったのだが、オレの書いたシナリオのレベルの高さを感心したクライアントがオレの事を気に入ってくれて、オレの報酬だけが上がっていった

オレは書くスピードも早いので、他の女性の脚本家さんが週に2〜3本納品するのに対し、オレは12〜13本ぐらい書いているのだが、漫画家でもあるので漫画を描いている4〜5人の漫画家さんに対してもクライアントに指示を出す

要は「(報酬に対して)手を抜いて描いているから気をつけろ」とか「この漫画家さんはかなり頑張って描き混んでいるから今後も付き合うべき」といった事を中心に、クライアントさんから「このタッチはどう思いますか?」「ホントにこの漫画家さんにお願いして大丈夫でしょうか?」といった相談を受けている

その一方で新しい脚本家さんを増やして、オレをもっと動けるポジションに置きたいというクライアントの意向で脚本家を募集する事になり、その選考にも関わっている

選考基準となるテストの内容もオレが決めているのだが、出したお題は『文字数はいくらでもOK』『登場キャラクターは最低でも父・母・娘の3人、ただし年齢は自由』で、『見た人が涙を流す様な感動する話を書いて下さい』である

そんな中でとても面白い脚本が上がってきたので簡略して紹介したい

大まかなストーリーだが、娘は大学受験を控えた女子高生。父親は夜勤が主で朝帰ってきては寝て、夜に出て行く毎日。進路の事で相談したいが疲れて寝ている父親に迷惑をかけたくないので母親を頼ろうとするのだが、母親が倒れて入院してしまう

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もはや誰にも頼らず自分で頑張るしかないと決めた女子高生だが、母のお見舞いの帰りに父親が他の女性と一緒にホテル街へ消えて行く姿を目撃してしまう

父親の夜の仕事がホストだったという事を初めて知った女子高生は父親に詰め寄るのだが、父親は悪びれるどころか入院中の母親がこのまま病気で死んでくれれば、遊んで暮らせる程の多額の保険金が手に入ると開き直っている

呆れた女子高生は「私が母親を治してみせる」と決意して猛勉強し、難しい大学へ無事合格するのだが、合格した事を母親に告げると、父親が女子高生に見せたのは演技で、娘のヤル気を煽る為にヒドイ父親を演じていたらしい

父親がホストだった事は母親ももちろん知っていたし、ホストだった父親に惚れた母親が結婚し、女子高生が生まれたのであった(おわり)

……メチャクチャである(汗)

ツッコミどころ満載なのだが、マジでコレを書き上げてくるから固まってしまう

感動させる以前に設定の前フリ(父親がホスト? 多額の保険金?)が大き過ぎて、後のオチである感動なんて全然入ってこないし、『自分が高校生になるまで父親の職業がホストだった事に気がつかないってどういう環境?』でもある(汗)

「(いやいやいやいや、おかしいでしょ?)」なのだが、『何がおかしいか』を指摘する事も面倒というか、指摘だらけになってしまう内容で、でも当人は仕事の契約をつかむ為に真剣に書いてきているのだ

そこに求められるのは単純な『文章力』意外に『感性』で、昨日取り上げた『ヒトにどう魅せるか?』を考える『構成』なのである

これを『教える』っていうのも相当難しいし、オレだって教わったわけではない

毎日続けてきたブログもしかり、昨日のPVの様な分析・研究だったりの積み重ねで、それにプラスした今までの『人生経験』のようなモノが重要なのだ

コレが『ダメ』で『正解が解る人』プラス、『文章』で『表現できるヒト』=脚本家という、ある意味解りやすい図式なのだった

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