ヨメさんが「明日は結婚『式』記念日だ」と言う

結婚記念日とは別で、そんな事を聞くのは初めてだし、どうせほぼ間違いなく数日前に、偶然たまたま思い出しただけなのだろうけど、せっかく気を良くして喜んでいるのだから、明日はそれに乗っかってやろうと思う

職場結婚だったオレたちだが、結婚する前、付き合うよりも前に、ヨメさんと知り合った当時、日傘をさして出勤している姿を見かけて「こういうタイプとは絶対付き合えないわ」と思ったのを覚えている

あったり前だが、真夏の伊豆で炎天下の下で4泊5日も道路で寝ていたオレにとって、あまりに正反対の真逆のタイプのコだったからだ

話す機会が増えてきて色々聞いてみると、英語の教師の免許を持っていて年に数回は海外旅行に行くし、銀座で呑んだりしている話を聞いて、ますます距離を感じたものだ

それでもひょんな事から付き合う事になって、通勤電車が都心と反対方向に向かう電車だった為、どちらも空いていて行きも帰りも座れるのをいいことに、帰りはたいがい缶ビール4〜5本とツマミを買って呑みながら帰ってたし、すっかり酔っぱらって駅についてからは駅前の立ち食いそばで一緒にそばを食って帰った

きっとポリシーに反することだらけで最初の頃こそメチャクチャ嫌がってはいたものの、慣れたのか、気に入ったのか、いつの間にか何も言わなかくなったし「発泡酒なんて」と言っていたヤツとは思えないぐらい、今では休日でバイクに乗らない休みは、ほぼほぼ呑みながら近所をあちこち散歩している

もちろんバイクになんて全く興味なかったので、初めてハーレーに乗せた時なんかはもうパニックだったし、確か2回目ぐらいのデートでラジオフライヤーを引いて日用品の買い物に付き合ってもらってドン引きされた気がする

海外に全く興味を持たないオレは海外旅行なんて容赦なく却下だし、新婚旅行もオレ推しの四国の高知だった(シブ過ぎるな……)

こうして書くと何一つ望みを叶えてやれていないような自己嫌悪に陥ってきそうだが、出会った当時、日傘で出歩いていたヨメさんは、数年後にお揃いのスニーカーとアロハを買って、ハーレーで二人乗りをして新婚旅行に行った四国を目指すようになった

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雨でズブ濡れの時もあれば、暑さでヘトヘトの時も、いつも1台のハーレーで2ケツして、どこに行くのも一緒だ

そういえば去年の夏、東京から四国を目指す途中の大阪あたりで36℃を超え、あまりの暑さにサービスエリアの水道でアロハをビショビショに濡らして着たまま走った

走り出せばどうせすぐに乾いてしまうのだが、それでも濡らしたアロハは走行中とても涼しくて、その発想に感激していたヨメにアドバイスとして、500mlのペットボトルに水を入れて持たせ、走行中にも乾いてきたら再び水をかけて濡らしながら目的地を目指した

実は20年以上前、ロナウド達と夏休みに伊豆を目指す際によく使った手段なのだが、こんな事でも知らなかった世界を体験する事は、ヨメにとって新鮮だったようだ

今まで生きてきた世界と余りに違う世界へ来る事になってしまったヨメを、少し気の毒にも思う

謝りこそしないが、ちょっとだけ申し訳ないと思う

何もかも正反対のオレとヨメだが、驚くべき事に年齢も星座も血液型も同じだ

年齢が同じという事は、一緒に乗っているショベルも同じなので、みんな同じ歳のチームで走っている

そう考えると、何か運命的なものを感じなくもない

オレの世界に引っ張り込んであちこち連れ回して気の毒な気もするが、もしオレが謝るとするのなら

それはきっと、オレが先に死ぬ事になった時だろうな

 

明日は結婚『式』記念日か……

仕方ないから何か買ってやるかな

 

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