野暮用でドコモショップに行ったのだが、店内のTVで『トムとジェリー』が放送されていた

ボンヤリ眺めていてふと思ったのだが、映像のみで音が無いのだ

今更説明するまでもなく、知っている人も多い世界的なアメリカのアニメだと思うが、アニメの内容自体に感心する年齢ではないけれど、その無音で流れるアニメに驚いた

意味がお解りだろうか?

『言葉』がなくても、セリフが無くても楽しめるという事は、言語が違うどの国でも受け入れられるという事で、発端はもちろん自国であろうアメリカでの放送の為に作られたアニメなのだろうが、海外版にシフトするとしても翻訳などの工程が不要なのである

ネズミとネコの追いかけっこという一見単純な作りでありながらも、物凄く考えて作り込まれた作品なのである

 

もともとお笑い番組も好きだが、そんな中でも「頭の回転が速いなぁ」と感心する様なコメディアンが特に好きだ

日本のお笑いはレベルが高いと思っているが、究極はチャップリンだと思っている

セリフもなく音も無く、でも国境を超えて人を笑わす事ができるチャーリーチャップリン(本名は確かチャールズ・スペンサーさんっだたかな)こそ、究極のコメディアンなのでは?と思う

 

以前サラリーマン時代、『ろうあ』の男性社員の部下が居て、よくサシで呑みに行った

オレは手話ができないので、行くときはいつもノートとペンを片手に書きながら伝え、色んな話をした(ちなみにそこから携帯の画面で見せ合う事を覚え、バイブズで掲載した『触れ合おう』での兄妹に活かされる手法となった訳なのだが…)

ほぼ全く聞こえないその子の趣味は、パチンコだと言う

聞こえないし『人』としての相手じゃない以上、「聞こうとしなくていい事」が楽なのだと言っていて、なるほどなと思った

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パチンコ以外の趣味で映画も好きだと言っていたのだが、これも効果音こそ聞こえないものの、基本字幕が出ているので面白いと言っていた

オレには解らなかった世界に改めて大変なんだなと思ったが、映画の話で盛り上がった際に、宮崎アニメの話をした

個人的な好き嫌いだと最初に触れておくが、オレは初期のナウシカやラピュタの様なスケールのデカさの宮崎アニメ(あくまで初期ね)が大好きだ

特にナウシカは映画化されたのは本作の半分以下に短縮された内容で、本作のスケールの大きさたるや、そのメッセージ性の強さを、当時何十年前に作品として描いていたという事が信じられないぐらい、作者はとてつもない事をしたのだと思っている(しかも線画が凄まじい……)

実に素晴らしい作品だと薦めるオレに、その子は「1作品も観た事がない」と言う

なんてもったいない、映画好きならきっとハマるから、是非観た方が良いとオレが言うと「字幕が無い」と言われた

すごいショックで、自分の無神経ぶりに結構凹んだ

もう10年以上前の話なので、今はどうなっているかは解らないし、字幕版もあるのかも知れない(というか、あって欲しい)

ただ、明らかに当時、日本語の映画だからこそ字幕は必要なくて、だから逆に、そういう事情で映画を楽しみにしている人が観れない現実があるのだという事に、憤りさえ感じた

正直、日本のマンガやアニメは世界から注目を浴びている事を聞くし、自分から見ても相当レベルが高いと思う

そう思っていたけれど、『音』としての全ての表現を無しとしてでも、万人を動かせるか?となると、そう簡単にはいかないと思う

一見子供だましの『トムとジェリー』を観て、初めてその凄さを知らされた気がした

 

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