伊勢神宮へ旅行したヨメさんの両親がウチに泊まり、翌日帰るのを家の前で見送った時の事だ

フラフラヒョコヒョコと足の悪いお婆ちゃんが「覚えてますか?以前はお世話になりました」と声をかえてきた

実はこのお婆ちゃん、以前家の前で転んでいたのを助けたお婆ちゃんで、お礼を言いに来たのだ

 

その日は寒い冬の雨の日で、朝からいつものようにガレージにこもってザ・ワイルドマンの製作を進めていると、シャッターの向こうの外が騒がしい

外へ出てみるとお巡りさんとこのお婆ちゃんがいて、事情を聞くと足が悪くて転んでしまったお婆ちゃんを、たまたま通りかかったお巡りさんが助け、救急車を呼んで待っているのだと言う

冬の冷たい雨が降る中、地面に座り込んでしまっているお婆ちゃんと、心配そうに隣りでしゃがんで救急車を待っているお巡りさんを見て、そういう事情ならばとシャッターを開けてガレージを開放した

ようは救急車が来るまで外で待たずにガレージで待てばいいという訳で、イスを出して座らせてやり、電気ストーブで温めながら遠慮する事はないからゆっくり休んでいればいいと伝えた

「寒かったから助かります、ありがとう」と言うお婆ちゃんに、気にするなと伝えて上着も肩にかけてやった

申し訳ないとお礼を言って、足が満足に動かない事を悔しがっているお婆ちゃんの姿を見ながら、オレは別の事を考えていた

 

たまたま座らせる為に出したイスと

試合前のボクサーが羽織るガウンのように、オレのかけてやった上着を羽織るお婆ちゃんの後ろ姿が、超ファンキーだったのだ(笑)

もちろん悪意なんて無くて「良かったら…」としてやった行動が、スゴイ絵ズラになってしまっていて、ションボリしているお婆ちゃんを見ながら「超・写真に撮りたい!」と何とも不謹慎な事を考えていた

さすがに理性がブレーキをかけて写真までは撮らなかったけど、ヨメさんが帰ってきてから今日の出来事として話し、盛り上がったのだった

その時の事を覚えていてわざわざお礼を言いに来てくれたお婆ちゃんだが、そんな事情もあって少し申し訳ない気持ちでもあり、複雑だった(笑)

「こっちこそすいませんでした。オレはそんな立派な人間じゃないんです」

……やっぱり言えなかった