昨日、出版業界の不況で本が売れなくなってきている話をしたが、その大きな理由としてSNSの発達がある

携帯電話で誰もが手軽に素早く情報を得る事ができる便利な世の中になった訳だが、紙媒体である本や雑誌がその分距離を置かれる存在になってしまった事は残念とも言える

昔、プレステ2が発売された当時、大注目されて記者会見を受けていた会社の代表が「次のライバルな何ですか?」とインタビューされ、「携帯電話ですね」と答えていた

当時は「何のこっちゃ?」と全然結びつかなかったのだが、さすが業界の最先端の代表だけに、早くもこうなる未来を予想していたという事なのだろうと思う

 

『情報』と聞いて思い出すのが、『不夜城』という小説で、かなり昔、映画化もされた結構有名な小説がある

映画も観たが全然短縮された内容だし、全くもってダダ滑りだったが、小説はもの凄く良く出来ていて面白い

『新しいジャンルのハードボイルド』なんて言われて注目され、いくつも賞を穫ったと思う

 

主人公は日本人と台湾人のハーフで、コワモテでもなければ腕っぷしが強い訳でもない

ただ、舞台となる新宿で飛び交うあらゆる情報を把握していて、それを巧みに操って日本のヤクザや台湾のマフィア、上海のマフィア、北京のマフィア、香港のマフィアや日本の警察までも翻弄する

金で色んな情報を買い集める主人公は、高額でその情報を売る

例えば、上海マフィアのナンバー2がナンバー1の座を狙っている情報をナンバー1に教えてやったり、北京のマフィアのボスのアジトを香港のマフィアに教えてやったり

時には売っておいて今度は相手側にも「狙われるはずだぜ」と情報を売ったりしながら、闇社会の真の支配者は、その情報を管理している主人公になっていく訳だが、ものすごく計算し尽くされていて面白い

当然存在が邪魔になって何度も命を狙われたりもする訳だが、自分が飼っている情報提供者(スパイ)たちから、そういった身の危険の情報も入ってくる為に回避し続ける

果ては自分に歯向かおうとする者の弱味(過去の犯罪や性癖など)までも知っている為、相手も手が出せなかったりと、主人公を中心にとにかく多くの情報が入り交じる

実は不夜城は映画化された第一部から第三部まで続くのだが、当時から『情報』という題材を使ってここまでの小説を書き上げた馳星周氏は、天才だと思った

第三部まで続くので面白いしお勧めな小説ではあるのだが、リアリティ過ぎて時にはグロイ

もう戸籍の無い子供の人身売買や、抗争の殺し合いや、薬物中毒の果て、ホモなどの性癖のエグさなども満載で、読んでから数年は、新宿が怖くなって近寄らなかったほどだ(笑)

なので女性にはお薦めしないし、中国マフィアが多く登場して漢字の名前が多い為、何回か読まないと登場人物が整理できないかも知れない(笑)

それがキッカケになって馳星周氏の小説は殆ど読んでいるが、その馳星周氏がまだ不夜城を書く前に賞賛したと言われる大沢在昌氏の『毒猿』という小説も面白い

有名な『新宿鮫シリーズ』の1作なのだが、他はハマらなかったが『毒猿』は面白かった

こっちは頭脳戦の不夜城と違い、どちらかというとガチンコ対決なので解りやすいが、やはりこれもややグロイので男性には薦めても女性には薦めない(笑)